2026年1月、天王洲アートエリアにて、日本画家・藤原ゆみこ氏による「屏風展」が開催されます。本展では、伝統的な日本画の技法を用いながらも、現代的な感性を取り入れた六曲一双の屏風作品が展示され、日本画の奥深い世界と今を生きる芸術の融合が体感できます。岩絵具や金銀箔といった日本画ならではの素材が織りなす色彩や質感は、静かな迫力を放ち、訪れる人々に強い印象を与えることでしょう。アートと文化が交差する街・天王洲で、心を満たす芸術体験をしてみませんか。
藤原ゆみこ氏による屏風展は、日本画の伝統と現代性を融合させた独自の世界観が最大の魅力です。会場では、六曲一双という古典的な形式に、岩絵具や金銀箔といった日本画特有の画材を用いて、空間全体を構成する壮大な作品が展開されます。屏風という立体的な形状を活かし、静と動が交差する視覚的表現がなされており、鑑賞者の動線や視点によって異なる表情を見せる点も見逃せません。作品は、新年の幕開けにふさわしい清廉な空気感と、時代を超えて語りかける強さをあわせ持ち、アートとしてだけでなく、日本文化の奥行きを体感する機会としても価値ある展示となっています。
今回の屏風展において中心となるのが、六曲一双という伝統的な形式を採用した作品です。六曲とは、屏風が六つの折れからなる構造を意味し、一双とはそれが左右一対で構成されていることを示します。この形式は、かつて武家屋敷や茶室などで空間を仕切る美術として重宝され、日本の美意識とともに発展してきました。藤原氏の作品では、この古典形式をベースに、現代的なモチーフや抽象的な構成が取り入れられ、過去と現在の時間軸が交錯するような奥深い世界が描かれています。広がる風景、流れる空気、時に静寂、時に動的なリズムが、屏風という立体物の中で有機的に展開され、鑑賞者の想像力をかき立てる構成となっています。
藤原ゆみこ氏の屏風作品において重要な役割を果たしているのが、日本画特有の画材です。中でも岩絵具は、天然の鉱石を砕いて精製された顔料であり、その粒子の大きさや混色によって独特の光沢と奥行きが生まれます。見る角度や光の当たり方によって色味が変化するため、作品は時間とともに表情を変える生きた絵画として鑑賞者を魅了します。また、金箔や銀箔の使用は、日本画における装飾性と荘厳さを象徴する要素であり、画面に格調と静けさをもたらします。藤原氏はこれらの素材を、単なる美術的演出にとどまらず、精神性を伴う表現手段として巧みに用いており、作品の世界観に深みと輝きを加えています。
東京藝術大学美術学部日本画専攻および同大学院を修了後、同大学研究室に勤務し、アトリエ・プナンを設立。以降、明治神宮明治記念館や札幌厚生省ビル、名古屋第二日赤病院などの公共施設における壁画やアートプランを数多く手がけてきました。古典的な日本画技法を重んじつつ、現代的な視点を取り入れた作品制作を続けており、毎年個展を開催しています。また、心身の病や障害、認知症を抱える人々に向けた表現ワークショップも実施しており、アートを通じた社会貢献活動にも力を注いでいます。著書には『赤い星と青い星』『一度も抱かれなかった人間の話』『おっちゃんの長い夏休み』などがあります。
